引っ越した後の住所変更登記は、法務局が自動でしてくれる。そう聞いて手続きを済ませ、家を売る準備を始めたら、登記には昔の住所が残っていた。制度の案内を読むと、こんな行き違いが起こり得ることが分かります。
スマート変更登記の利用を申し出た日と、登記上の住所が変わる日は別です。売却を予定している人は、無料で利用できるかだけでなく、決済までに手続きが終わるかを確認しましょう。
自動で変わるまでに、本人への確認がある
2026年4月1日から、不動産の所有者は住所や氏名等が変わった場合、原則として変更日から2年以内に変更登記をする義務を負います。その負担を軽くする仕組みがスマート変更登記です。個人の場合は「検索用情報の申出」をすると、法務局が住民基本台帳ネットワークで変更を確認し、本人の了解を得て登記します。[1]
2026年4月1日より前に変更して未登記の場合も対象で、原則2028年3月31日までの対応が必要です。検索用情報の申出を済ませた人の義務・過料上の扱いと、実際の登記完了の時期は分けて確認します。[2]
住所変更が確認されても、その場で登記が直るわけではありません。意思確認の通知を受け取り、希望する旨を回答し、審査を経て完了します。メールアドレスを登録していればメール、登録していなければ書面で通知される仕組みです。
法務省の2026年9月30日更新の案内では、個人への意思確認通知は12月中旬以降、順次送付する予定とされています。10月時点で申出をした人全員の住所が変わっている、という運用ではありません。
今年度の対象になるかは、登録完了日で分かれる
2026年度に対象となる個人は、2026年3月31日までに法務局で検索用情報の登録が完了した人です。4月1日以降に登録が完了した人は、2027年度以降の対象になります。申出を出した日ではなく、登録が完了した時期を確認します。[2]
複数の土地や建物を持つ場合には、一部だけ登録の時期が違うこともあります。一つの不動産で対象になったから、所有する全部が同じ時期に変わるとは限りません。どの不動産について申出をしたか、控えを見ながら整理してください。

売却が近ければ、待つ前に司法書士へ
法務省のQ&Aは、急いで住所等変更登記が必要な場合には、自分で申請する必要があると説明しています。法務局が決めた通知の時期以外に、個別の希望でスマート変更登記を進めてもらうことはできません。[2]
売買契約前でも、登記事項証明書の住所と現在の住所が違うと分かったら、決済を担当する司法書士へ伝えます。「自動の申出は済んでいます」と「変更登記が完了しています」を分けて説明すると、必要な作業を判断してもらいやすくなります。
自分で申請する場合の登録免許税、証明書の取得費、司法書士に頼む場合の報酬は、無料のスマート変更登記とは別に確認します。引っ越しを繰り返している場合は、住所のつながりを示す書類を含め、何が必要かを先に聞きましょう。
通知に回答した後も、完了したかを確かめる
変更登記の処理中は、その不動産の登記事項証明書等を取得できない期間があります。本人が意思確認に回答した直後に、仲介会社や司法書士が証明書を取ろうとすると、手続き中と表示される場合もあります。[1]
通知を受け取ったら、回答日も売却の担当者へ共有します。書類を出したという記憶だけで、登記完了と判断しないことが大切です。必要に応じて担当法務局や司法書士へ確認し、決済前の段取りをそろえます。
将来また引っ越す場合にも、連絡先を残す
2027年度以降の対象者や通知時期は、確認時点の法務省案内では未定です。今後の更新を見て判断してください。また、海外居住者は住基ネットによる住所の確認ができないため、個人のスマート変更登記の対象外です。[1]
売却準備では、手続きの名前を覚えるよりも、現在の登記、申出の控え、通知、決済予定日を一緒に並べる方が役立ちます。自動の仕組みを使える人も、目の前の売却に必要な確認は担当者と進めましょう。
司法書士へ伝える四つのこと
登記上の住所/現在の住所/検索用情報の登録・通知・回答の状況/決済予定日。この四つをそろえ、「自動の処理を待てるか、別途申請が必要か」を確認してください。


