買主が見つかりそうなので、家の書類を探し始めた。固定資産税の封筒はあるのに、権利証がない。引き出しを何度も開けているうちに、「これでは売れないのでは」と心配になります。まずは、探す作業と、売却の段取りを確認する作業を並行して進めましょう。
日本司法書士会連合会は、権利証や登記識別情報を紛失しても、別の本人確認手段で登記できる制度があると案内しています。見つかるまで相談を待つ必要はありません。ただし、実際の決済に使う方法と必要な日数は、司法書士や関係者との調整が必要です。[1]

なくしたのが、誰の、どの不動産の書類かを確認する
古い書面の登記済証が、いわゆる権利証です。これに代わる制度として、12桁の符号で本人確認に使う登記識別情報があります。土地と建物、共有者が複数いる場合など、確認する対象が一つとは限りません。
親名義の古い権利証を探しているのか、自分が相続登記した後の情報がないのかでも、相談の内容が変わります。相続登記では、亡くなった人の登記識別情報が原則不要とされる一方、売却の移転登記は別の手続です。いまの登記名義を確認して伝えてください。[1]
紛失したから、再発行の申請をすれば済むわけではない
紛失した権利証の再発行や登記識別情報の再通知はできません。ただし、紙や情報がなくなったことと、所有権を失うことは同じではありません。政府広報の被災者向け案内も、この登記制度の一般的な点を説明しています。災害時の特別な取扱いを、通常の売却へそのまま当てはめるものではありません。[2]
「再発行できるまで決済を延期する」ではなく、「紛失した状態で使える方法を確認する」と相談します。盗難が疑われるなど不正利用が心配な場合には、登記識別情報の失効申出などについて、法務局や司法書士へ早めに相談してください。
別の本人確認方法と、決済に使える方法を分けて聞く
日司連は、登記官による事前通知や、資格者代理人による本人確認情報の提供を案内しています。制度があることと、予定した日に代金の支払い・鍵の引渡しまで滞りなく行えることは、分けて確認します。[1]
売却を担当する司法書士が決まっていれば、まずその人へ連絡します。買主や金融機関と、どの確認を、いつまでに済ませる必要があるのかを調整してもらいましょう。費用は依頼内容や事務所によって変わるため、本人確認に関する報酬、ほかの登記費用、実費を分けた見積りを頼みます。
最初の連絡では、この4つを伝える
- 契約・決済の予定。買主が決まっているか、契約日・決済日を決めているか。
- 登記名義と住所。土地・建物・共有の別、名義人、登記上と現在の住所・氏名の違い。
- 本人確認書類の状況。手元にある書類と有効期限。必要な種類は依頼先に確認する。
- 実印なども使えるか。実印、印鑑登録証明書を準備できるか、ほかにも紛失物があるか。
これは編集部が整理した初回相談の項目で、必要書類の確定リストではありません。共有者が遠方にいる、本人が出向ける日が限られるといった事情も添えます。「ない物」だけでなく、確認に使えそうな物と時間の制約を伝えることが大切です。
相談先が決まっていなければ、地域の窓口から
日司連の司法書士総合相談センター一覧で、都道府県を選び、地域の相談窓口を探せます。相談の予約方法、費用、持参資料、個別の登記業務を依頼できるかは、窓口ごとの案内で確かめます。[3]
紛失時の連絡メモ(編集部作成)
物件所在地・地番/家屋番号:__
現在の名義人・共有者/住所等の変更:__
見当たらない書類・情報/手元にあるもの:__
契約日・決済予定日/本人が対応できる日:__
質問:利用する本人確認方法、必要な面談・書類、費用と所要日数、買主等との調整事項は?
紛失が分かった段階で連絡し、決済日を確定する前に必要な工程を確かめます。引き出しの捜索は続けても、相談まで迷子にしない。手続の予定を先に見える形にしておきましょう。
冒頭の手順の図解を大きく見る(条件と詳しい操作は本文を参照)


