不動産会社選び

家を売ること、ご近所にはまだ内緒にしたい。広告を控えると何が変わる?

ネット広告を抑えることと、レインズに登録しないことは別です。他社広告に驚いた相談例を読み、掲載先・写真・紹介の範囲を契約前に整理します。

わずかに開いたカーテンと向かいのベランダを描いた線画
架空のイメージです。実在の物件・人物・施設・アプリケーションとは関係ありません。

家を売るつもりだと、ご近所にはまだ話していない。だから広告も控えめにしたい。でも、不動産会社へそう頼んだら、買ってくれる人まで見つからなくなるのでしょうか。

この相談では、ネットの物件広告、他社による広告転載、業者間で使うレインズを分ける必要があります。「広告を出さない」と「ほかの不動産会社にも情報を渡さない」は、同じ約束ではありません。何を抑え、何を残すかを契約前に言葉にすると、選択肢が見えてきます。

頼んだ会社以外の広告に載って、驚いた売主もいる

不動産流通推進センターが2020年4月に掲載した相談では、専任媒介を依頼した売主が、別の会社も自分のマンションを広告していると知り、不満を伝えています。回答は、特段の合意等がなければ、広告のたびに売主の個別承諾が必要とはいえないとしつつ、事前の十分な説明を求めています。[1]

ここから「売主に無断なら広告はすべて違法」とは読めません。反対に、売主が何も指定していないことを、どんな見せ方にも納得していると受け取ってよいわけでもない。掲載範囲を気にする人ほど、最初の説明と合意が大切になる事例です。相談文に出てくる価格への心配も、実際に値下がりしたという検証結果ではありません。

一般向けの広告と、レインズ登録は役割が違う

東日本レインズの案内によれば、レインズは不動産会社が物件情報を交換する仕組みです。一般の買主が物件ポータルのように自由に検索するサイトとは違い、専任媒介・専属専任媒介では登録義務があります。売主用の確認機能と、一般向けに広告されることも区別します。[2]

そのため、専任媒介を選んで「ネット広告は控えたい」と頼むことと、登録義務のある情報までレインズに載せないよう求めることは別です。仲介会社へは、広告制限をした場合にも、登録や業者間の紹介がどう行われるのかを具体的に聞きましょう。

情報の出し方 主な相手と確認点
物件ポータル・会社サイト 一般の閲覧者。掲載するサイト、住所の表示範囲、写真を確認
他社の広告への転載 別会社の広告を見る人。依頼先から他社へどこまで広告を認めるか確認
レインズ 業者間の情報共有。媒介契約の種類に応じた登録義務と確認方法を把握
会社が把握する購入希望者へ紹介 条件に合う顧客。紹介前に何をどの範囲で伝えるかを相談

上の表は役割の整理です。紹介先を絞っても、その先で情報が広まらないという保証にはなりません。

「他社の承諾」と「売主の希望」を取り違えない

西日本レインズは、登録情報を広告へ使う際、物件を登録した元付業者の書面による承諾を必要としています。これは他社と元付業者との間の運用です。売主が広告一件ずつへ個別に署名するという話とは異なります。[3]

売主が公開範囲を制限したいなら、依頼先と希望を共有し、他社への広告承諾にもどう反映するかを聞く必要があります。依頼先のサイトだけ見て安心していたら、別のポータルに掲載されていた、という行き違いを減らすためです。

「内緒で」という一言は、便利そうで範囲が広い言葉です。現地の売物件看板を置かないことなのか、外観写真を出さないことなのか、町名までの表示を抑えることなのか。自分が一番避けたい場面を伝え、可能な範囲と契約上の扱いを確認します。

広告を絞ったら、反響の見方も決める

掲載先を減らせば、そこで物件に出会う機会も減ります。ただし、絞ったから必ず何か月延びる、何万円下がるという一律の数字はありません。依頼先が持つ顧客や他社との紹介、物件の条件によって変わるからです。

まず限定した範囲で紹介し、一定期間の反響を見て掲載先を広げる、といった段階的な案も担当者と検討できます。その場合は、反響が少ない理由を、露出の少なさと価格・条件に分けて説明してもらいます。「問い合わせゼロ」だけでは、どちらを変えるべきか分かりません。

契約前の相談では、例えば次のような確認文を使えます。実際の契約条項ではなく、編集部が論点を整理した文例です。

当面は現地看板と一般向けネット広告を控えたいです。必要なレインズ登録と、購入希望者への紹介はどう進みますか。他社の広告転載を含む公開範囲、写真・所在地の扱い、範囲を広げる前の確認方法を、書面で共有したいです。

近所に知られる経路は広告だけではありません。内覧の出入りなどもあるので、秘密を完全に守る約束として受け取らず、何をどこまで管理する合意なのかを確かめます。家を売る理由まで周囲に説明したくない、という気持ちは、そのまま担当者へ伝えてよいものです。販売の窓口には、物件の条件と一緒に、その希望も持っていきましょう。

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