実家の横には小さな畑。売る側には手入れの負担があっても、買う人には、野菜を育てる暮らしが魅力に映るかもしれません。家と一緒に引き継いでもらえたら、と考えたくなります。
ただ、「家庭菜園を楽しみたい」という気持ちだけで売買を進められるかは、別に確かめたいところです。農地を農地として売る場合は、面積が小さくても、原則として農業委員会の許可等を確認する必要があります。暮らしの魅力を伝える準備と、土地の手続きを調べる準備を、一緒に進めましょう。
面積の下限はなくなったが、許可までなくなったわけではない
2023年4月1日、農地取得時の下限面積要件が廃止されました。国交省はこの変更等を踏まえ、2024年10月4日に「農地付き空き家」の手引き改訂を発表しています。面積の下限がなくなった後も、売買には次の確認が残っています。[1]
農水省は、農地を農地として売買する場合、原則として当事者が農業委員会に申請して許可を受ける仕組みを案内しています。下限面積の廃止を「買主を問わず自由に売れる」と読み替えないことが大切です。権利移動には、農地中間管理機構を通じる別の方法などもあります。[2]
小規模な農地と空き家を、地域でつないだ実績
国交省の改訂手引きには、大分県豊後高田市の取組が紹介されています。住宅の庭先等の小規模農地は借り手が見つかりにくく、空き家と一緒に農地も処分したいとの声があったことが背景とされています。[4]
豊後高田市は2015年から農地付き空き家に取り組み、2023年10月時点で16件の成約実績があったと報告しています。購入者は市外からの移住者が代表的な層とされています。
この地域の実績は、畑を持て余す売主と、畑のある暮らしを望む人をつなぐ方法の一つです。全国や2026年の成約数を示すものではありません。自分の実家でも同じように進められるかは、土地の条件と買主の利用計画を、地域の窓口へ相談するところから始まります。

買主の営農計画を、家の購入希望と分けて確認
面積以外にも、農地を効率的に利用すること、必要な農作業に従事すること、周辺農地の利用に支障を生じさせないことなど、許可に関わる要件があります。高山市も、面積の制限がなくなった後に、これらの確認は残ると説明しています。[3]
同市では、新たに営農する人に計画書等を求め、聞き取り等を行う運用も示しています。ただし、様式や相談の進め方は地域で確認する必要があります。家を買いたいという希望に加え、誰が、何を、どのように栽培・管理するかを買主側と整理しましょう。
庭の菜園が、すべて農地とは限らない
登記の地目だけでなく、実際の使われ方や敷地との関係も重要です。手引きは、ごく小面積の菜園で、住宅敷地から独立して取引の対象となり得ない等の場合には、農地法上の農地に当たらない扱いも紹介しています。その判断は農業委員会に確認します。[4]
「地目が畑だから」「家の庭だから」の一言で手続きを決めないようにします。登記事項、地図、現地写真、これまでの耕作状況をそろえ、対象範囲を示して相談すると、話を進めやすくなります。
駐車場にする予定なら、転用を別に考える
買主が畑を続けず、駐車場や住宅敷地などに変える予定なら、農地のまま取得する話とは別です。農地転用の許可・届出等や、そもそも転用できる土地かを確認する必要があります。更地にすれば農地ではなくなる、と自己判断で工事を始めないでください。[2]
売出し前に農地の条件を把握し、買主の将来の使い方と手続きの見通しをそろえます。家と農地を一緒に売るか、別に扱うかも、利用計画と管理の負担から検討しましょう。許可等を見込む期間は仲介会社と共有し、引渡日を相談します。
農業委員会へ持っていく資料
土地の地番・地目・面積/現地写真と敷地の地図/現在の耕作者/売却後の利用予定。家に付く小さな畑であることも伝え、必要な手続きと買主側の条件を確認しましょう。


