3,500万円と言う会社と、4,000万円と言う会社。同じ家なのに500万円も違えば、「高いほうの会社が、価値をわかってくれた」と感じるかもしれません。家には、買ったときの期待や、暮らしてきた時間も詰まっています。
けれど、仲介の査定は、その会社がその金額で買う約束とは違います。高い数字が届いた瞬間より、その数字で売るための説明を聞く時間のほうが、会社選びには役立ちます。
査定額・売出価格・買取価格を混ぜない
仲介の査定額は、条件や取引事例から見込む価格の目安。実際に広告を出す価格は売主と相談して決め、最終的な売却額は買主との合意で決まります。高めの売出価格を試す戦略自体が、いつも間違いとは限りません。[2]
大事なのは、その額が成約を見込む査定なのか、時間をかけて試す提案なのかを明らかにすることです。不動産会社が直接買う「買取」の提示額なら、条件や有効期間を含め、別の種類の提案として比較します。
会社によって価格が違う理由にも、参照した事例、室内の評価、得意な購入層などがあります。数字が高いという理由だけで、担当者の誠実さまで決めつけることはできません。
高い査定の先に、どんな結果があったか
不動産売却サポートの山田敏碁氏が公表した横浜市の戸建て事例では、最高の査定額は4,200万円。依頼後に価格を下げ、7カ月後に3,100万円で成約したと紹介されています。同じ記事には、根拠と販売計画を比較して最高額以外の会社を選び、2カ月で査定に近い額で売れた例もあります。[1]
これらは事業者本人による事例紹介で、取引時期や契約資料は公開されていません。独立して検証された統計ではなく、別の会社なら必ず高く売れたと証明するものでもありません。ここでは、査定後の進め方を考える材料として読みます。
結果から学びたいのは、「一番高い会社を避ける」という単純な順位づけではありません。予定どおり売れないとき、何を見て、いつ、どう判断するのか。その相談を依頼前に済ませておくことです。
査定書を、同じ四つの質問で比べる
複数社に相談したら、金額の欄だけを横並びにせず、同じ質問を投げてみましょう。答えをメモにすると、説明の違いが見えてきます。
- この価格の根拠になった成約は、いつ、どんな条件の物件ですか。
- その物件と比べて、うちの強みと弱みをどう評価しましたか。
- どんな人に、どの広告や紹介経路で届けますか。
- 反応が弱かった場合、何を確認して、いつ次の提案をしますか。
事例が少ない地域なら、件数だけを求めても判断は難しいかもしれません。資料が乏しい部分を隠さず、代わりに何を調べたか説明してくれるかも、比較のポイントです。
「反応がないので値下げ」で終わらせない
販売中の報告では、問い合わせ件数だけでなく、その後の経過を確認します。内覧を断った理由、検討をやめた理由、ローンや引き渡し時期が合わなかったケース。価格以外の原因が見つかる場合があります。
たとえば、室内が暗く見える写真しかなければ、撮り直しを検討できます。修繕履歴が不明で不安を持たれているなら、資料をそろえます。それでも似た物件より割高なら、価格を見直す根拠になります。
逆に「写真を変えれば必ず売れる」と言い切るのも乱暴です。広告を改善しても、買主の予算を超える価格なら選ばれにくいままかもしれません。担当者には、対策と結果を結びつけて説明してもらいましょう。
これからは、見積もりの速さの先を比べる
オンラインで価格の目安を得やすくなるほど、売主は多くの数字に触れます。今後も、算出された数字と、目の前の家の事情を結びつける説明が必要になるでしょう。これは編集部の見方で、特定の査定サービスの精度を評価するものではありません。
転勤までに売りたい人と、納得する価格まで待てる人では、適した計画も変わります。自分の期限、残したい手取り、住み替え条件を先に伝えると、担当者の提案を現実の暮らしに照らして比べられます。
契約前の比較メモ
紙を「成約の根拠」「広告の計画」「振り返りの時期」「自分の希望への対応」の4列に分け、各社の回答を書いてみてください。金額が同じでも、任せたい相手の違いが見えるはずです。


