説明は丁寧で、査定額も悪くない。家の売却を任せる会社を選ぶとき、担当者との相性は気になるものです。もう一つ、面談の前に自分で確認できる材料があります。会社の免許情報と、行政による処分の公表情報です。
口コミと公表情報では、分かることが違います。書き込みの件数だけで決めず、どの法人が契約相手になるのかを確かめるところから始めましょう。
監督処分は、全国で年間163件
国土交通省が2026年10月2日に公表した2025年度の調査では、宅建業者への監督処分は全国163件。前年度の147件から16件増えました。内訳は免許取消85件、業務停止36件、指示42件です。行政指導768件とは別に集計されています。対象期間は2025年4月から2026年3月で、10月だけの件数ではありません。[1]
同じ調査で宅建業者数は133,727業者。業者数、監督処分、行政指導はいずれも集計の対象と意味が違います。「件数が増えた」という事実から、目の前の会社が危険だと決めることはできません。
公表された処分は、会社を比較するための材料の一つです。件数を業者数で単純に割って、利用者が被害に遭う確率のように示すことも適切ではありません。
まず名刺から、正式社名と免許番号を拾う
不動産会社のブランド名や店舗名と、実際の運営法人の名前が違うことがあります。全国で見かける看板でも、契約相手は地域の別法人かもしれません。検索するのは看板だけでなく、契約書に載る正式社名です。
名刺、会社概要、査定書などで、正式社名、本店所在地、免許番号、免許行政庁を控えます。国交省の企業情報検索の案内から登録情報を確認し、同名の別会社を取り違えないよう所在地も照合します。[2]

「処分あり」だけで止めず、理由と時期を読む
国交省のネガティブ情報等検索サイトでは、処分年月日、事業者名、処分等の種類や内容を確認できます。概要だけで判断せず、行政庁が公開する詳細にも進みます。[3]
見る項目は、何を理由に、いつ、どの範囲に、どのような処分が行われたかです。現在も業務ができない状態なのか、過去の出来事なのかで意味が変わります。日付と対象範囲を外して、処分名だけを読むと判断を誤ります。
気になる記載があれば、「この公表内容について、現在の対応を説明してください」と資料を示して質問します。担当者の言葉だけでなく、相談窓口、書面の確認体制、連絡記録の残し方が具体的かを見ると、実際に任せる場面を考えやすくなります。
見つからないことも、安全の保証にはならない
公表情報には、掲載する行政庁、対象期間、更新の時期などの範囲があります。国の検索サイトだけで全ての都道府県の情報が同じように確認できるとは限りません。検索サイトの注意事項を読み、免許行政庁のホームページでも確認してください。[3]
検索結果がなくても、正式社名の入力が違う、名称が変わった、公表対象の範囲外だった、といった可能性が残ります。「検索結果なし」は「問題なしの証明」ではありません。分からない点は免許行政庁に確認し、断定を避けます。
最後は、売却中の説明の仕方と合わせて判断する
過去を調べても、これからの担当者の対応が全て分かるわけではありません。広告の内容を誰が確認するか、内見後の報告をいつ受けられるか、担当変更時に誰が引き継ぐか。自分の売却で起こる場面を質問してみます。
公表情報の点検は、会社を疑い続けるためのものではなく、契約相手を理解する準備です。査定額、販売計画、説明の分かりやすさと一緒に比べ、判断の根拠を家族にも共有できる形で残しましょう。
面談前に一枚のメモを作る
正式社名・所在地・免許番号を書き、国と免許行政庁の検索結果、確認日、質問したい点を追記します。会社名だけで別法人を取り違えないことが最初の一歩です。


