実家を空き家バンクに登録した。書類も出した。それから何カ月も問い合わせがない。「この地域には、もう家を買う人がいないのだろうか」と考える前に、自分の物件を買い手のつもりで検索してみてください。
登録したという手続きと、物件の魅力や条件が伝わる公開ページは別です。なかには、自治体のページには載っていても、全国版には掲載されていない物件もあります。
全国版は広がった。でも、登録すれば必ず載るわけではない
国交省の2026年8月末の資料では、全国版空き家・空き地バンクに1,151自治体が参加し、744自治体が物件を掲載しています。自治体へのアンケート等による累計の成約は約2万7,000件。全国版は2018年4月に本格運用が始まり、地域を横断して探す入口になっています。[1]
ただし、この成約数は売買だけの実績とは限りません。また、参加自治体の数と掲載中の自治体の数の差を、そのまま「仕事をしていない自治体」の数と読むこともできません。募集中の物件の有無など、背景は数字だけではわからないからです。
国のFAQには、所有者の同意が得られていなかった場合や、自治体の個別判断によって全国版に掲載されない可能性があると明記されています。まず確認したいのは、登録の受付日より、現在公開されているページのURLです。[2]
「各自治体の個別の判断で掲載されない可能性もあります。」
消費者向けFAQ・Q.2より一部引用(2026年10月9日確認)

過去に売れた家を、金額より条件から見る
山梨市の成約一覧では、2025年度に土地・建物の売却だけでなく、土地のみの売却や賃貸も確認できます。2026年度の一覧にも土地・建物の売却が掲載されています。空き家バンク経由で実際に契約へ進んだ物件がある、という結果を自治体の資料で確認できる例です。[3]
一方、一覧だけでは成約価格や買い手が最初に見た広告、登録から契約までの期間まではわかりません。全国版への掲載が成約の決め手だったと断定することもできません。
自分の地域の実績を見るときも、「いくらなら売れるか」だけでなく、建物付きか土地だけか、売買か賃貸か、どんな使い方が想定されていたかを担当窓口に聞いてみましょう。地域で動いている需要を知る手がかりになります。
まず三つの画面を、買い手の目で開いてみる
全国版はLIFULLとアットホームの二社が運営しています。自治体の掲載ページと合わせて、自分の物件がどこに掲載されているかを窓口へ確認します。両方に同じ内容で出るとは限らないため、見つからなければ掲載先と条件を聞くところから始めます。[2]
そのうえで、スマートフォンで写真、間取り、所在地の範囲、価格、現況、問い合わせ先を順に見ます。写真は外観だけになっていないでしょうか。庭や水回りの状態、荷物が残っているかどうかは伝わるでしょうか。「詳しくは相談」と書かれた項目が多いほど、遠方の人は内覧の交通費をかける判断が難しくなります。
更新の希望は、写真と変更点をまとめて担当者へ渡すと相談しやすくなります。勝手に複数の広告を作る前に、現在の仲介契約や自治体の掲載ルールとの整合も確認してください。

写真を増やすなら、魅力と未確認事項を一緒に
日当たりのよい縁側や広い庭は、その家らしさを伝える材料です。同時に、使えない設備、修理の履歴、まだ調べていない箇所も整理します。きれいな部分だけを見せて内覧後に食い違いが出ると、買い手も売り手も時間を失います。
編集部から提案したいのは、「写真/確認した日/わかっている状態/未確認」の四列のメモです。たとえば給湯器なら、撮影したことと正常に動くことは別。長期間使っていないなら、動作未確認と担当者に伝えます。
内覧についても、鍵を誰が持ち、何日前までの連絡で対応できるかを決めます。広告が見つかっても、次の一歩が進まなければ契約には近づきません。
これからは「掲載の有無」の先を点検する
全国から比較できる情報が増えるほど、買い手は近隣の町の物件とも見比べやすくなります。これは競争が増える可能性と、自分の町を知らなかった人に届く可能性の両方を含みます。どちらに働くかを、登録件数だけから予測することはできません。
まずは担当者と、問い合わせ内容を振り返る時期を決めましょう。閲覧が少ないのか、質問は来るが内覧に至らないのか、内覧後に条件が合わないのか。段階を分ければ、写真を補うべきか、引渡し時期を見直すべきか、価格を相談すべきかが考えやすくなります。

今日できるのは、URLを一つもらうこと
窓口に「現在、買い手が見られる掲載ページを教えてください」と連絡します。そのページを家族にも開いてもらい、内覧したいと思うために不足している情報を三つ挙げてもらってください。登録後の点検が、次の問い合わせへの準備になります。


